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Damage [映画]

ジュリエット・ビノシュ続き。
「汚れた血」のビノシュを期待して観ると、肩透かしをくらう。別にルイ・マルが悪いわけじゃない。「あの」ビノシュはカラックスにしか撮れないのだ。でもそれは致命的だった。

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いわゆる Femme Fatale もの。
息子の恋人であるビノシュを愛してしまったばかりに、家庭も地位も完膚無きまでに失うジェレミー・アイアンズ。そしてビノシュは、ややこしい状況と見ると音もなく去っていく。アイアンズには何一つ残らない。

何だかとても後味の悪い映画なのだ。それはビノシュが魅力的に撮れていないことに起因するといっていい。もし、ビノシュが出会ってしまったが最後、もうどうなっても構わない、というくらいの吸引力で撮れていたなら、それもまた人生、と諦めもつく。それにアイアンズは廃人になっても、ビノシュとの短い爆発的な幸せを反芻するだけで生きていけるのかも、と一応の救い(なのかな?)がある。

でも、そうは感じられないのだ。ビノシュにそんな価値があるようには。ビノシュのマジックにはまったばかりに、無駄に人生賭けて、あっさり負けてしまう愚かなアイアンズ。人生賭けるような相手じゃないのに。底知れぬ無力感と後味の悪さ、そしてビノシュへの嫌悪感が残る。

結局のところ、世の中にはこういう致命的な落とし穴があって、一見普通そうな顔をしながらあなたを待ち受けているのだ。それはあなたの人生を簡単に破壊してしまう。そして、たぶんあなたに逃げる術は無い。気付いた時にはもう手遅れ。恐ろしいですねー。と社会に警鐘を鳴らす映画なのかもしれない。

という解釈でどうか。たぶん違うな。




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