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家具の音楽 [音楽]

Erik Satie / Musique d'ameublement「家具の音楽」.
BGM とかアンビエントミュージックという概念が発生する遥か昔の 1920年、部屋の調度品のように「意識的に聴かれることのない音楽」として Erik Satie が発表した、元祖アンビエント室内楽。



エンドレスにループ演奏されることを前提としていて、楽譜上は終わりがない。しかし、古典的なリニア記録媒体であるレコードや CD ではそれを再現することはできない。適当な回数繰り返したら、どこかで「終わり」にするしかないのだ。

CDプレイヤーにはリピート再生があるじゃないかとあなたは言うかもしれない。でもそれはループ再生には使えない。流れが「途切れ」てしまうのだ。CDの「曲」の最初と最後は一般に数秒間無音だし、ピックアップを動かすためのシーク時間が必ず発生する。オールドテクノロジーの限界。

CD の時代も終了し、メモリーから完全デジタルな再生ができる今、Satie の指定通りのエンドレスループは容易に実現できるはず。しかし、残念ながら iTunes Store で買える Satie の「家具の音楽」は単に CD の音源を MPEG-AAC 化しただけで、曲の最初と最後の無音部分はそのまま。なのでリピート再生しただけではCDと同様に音が途切れてしまう。せっかくのテクノロジーを無駄にして故人 Satie の意志が踏みにじられているのではありますまいか。
itunes.jpg
幸い、iTunes には曲ごとに開始時間と終了時間を手動設定する機能がある。これを調整して曲の先頭と最後の無音を削ってリピート再生してみる。

http://itunes.apple.com/fr/album/satie-cinema-sonnerie-vexations/id208041890
Musique d'Ameublement:
Satie: Cinéma & Sonnerie & Vexations - Hindemith:
Concert Piece for Trauntonium & Strings

Musique D'ameublement
I. Tenture de Cabinet Préfectoral : 開始 0:06.5, 終了 6:10
II. Tapisserie en Fer Forgé : 開始 0:03.5, 終了 3:06
III. Carrelage Phonique : 開始 0:01.6, 終了 2:28.6

これで I と III はキレイなエンドレスループ化に成功。Satie が 1920年に書いた楽譜通りの再生が 2011 年に実現した!といえましょう。

II は常に鳴り続けるヴァイオリンの音が継ぎ目で終わってしまうのでいまひとつ。キレイにループさせるには、無音部分の削除だけじゃなくて、ループ用に「つながる」Remix か、専用再生アプリケーションが必要な気が。誰か、Satie 家具の音楽「無限ループ」ヴァージョン作りませんか?

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